【犬狼物語 其の三百九十六】 群馬県太田市 石原賀茂神社の「救命犬」再訪
群馬県太田市、「鳥居のない神社」として有名は石原賀茂神社の「救命犬」の像を再訪しました。
相変わらず交通量の多い道ですが、交通事故から人間を守ってくれているようにも見えてきます。
それこそ「救命犬」。
「鳥居がない」ことには、この犬が関係していました。
平成18年(2006年)に建立されたこの「救命犬之像」の後ろには、「鳥居の無い由来の碑」があります。それによると、
徳川のむかし、京都を発した日光御礼参の例幣使の行列が道中の安全祈願をかねてしばらく賀茂神社の境内で休んでいる時、にわかに一匹の犬が激しく吠えはじめた。
不審に思った供侍が吠えたてる犬を追い払おうとして何度も何度も制したけれど犬はなお激しく訴えるように吠えたてて逃げようともしなかった。怒った供侍はとうとうこの犬を切り捨ててしまった。
すると意外なことに胴をはなれた犬の首は空に飛び上った。あれよと人々が見上げると犬の首は鳥居の上の大蛇に噛みついた。たまたま鳥居下に休んでいた例幣使に犬は大蛇のいる危険を知らせる為に盛んに吠えたのだった。
例幣使は自分を助けようとして吠えたことがわかった。このため日光から帰ってくるまで犬の供養をして塚をこしらえておくようにいってこの神社を去った。
そこで犬を供養しその上に石尊様をまつった。この為村では鳥居があったので蛇がそこへあがったということで神社の鳥居をはずしてしまい今もないのだという。
鳥居がないのは、こういう理由だったのですね。
この物語は、以前来た時にはわからなかったのですが、日本全国に点在している小白丸型伝説でもあるようです。うるさく吠えて、刀で切られたとき、犬の首は、大蛇に噛みついて、人間を助けた。人間は、犬を誤解したことを悔やむ、というパターンの物語です。これに「例幣使」という地元に由来する話が合体したようです。
さんざん「危険な運転はしないで」とうるさく言っても、聞く耳を持たず、結局事故に遭ってから、後悔する、などといった話はこの物語と通じるような気がします。
ところで、拝殿左側に境内社があって、中を除いたら、丸っこい石が祀られていました。これは何でしょうか。
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