【犬狼物語 其の四百二】 群馬県太田市 普門寺の「忠犬もん」の像
群馬県太田市にある普門寺の山門をくぐるとすぐ左に「忠犬もん」の像があります。
像の台座の後ろには、「平成十六年六月一日未明 普門寺本堂庫裏出火ニ際シ殉死」とあります。
もんは、先代住職が飼っていた2歳になる柴犬でした。もともとは、先代住職が一人では寂しいだろうと、娘さんが普門寺に連れてきた犬だったそうです。
先代住職は、目が悪く、その晩はお腹も痛くて早く床についたらしいのですが、もんが鳴いたので起きました。そして火事に気が付いた先代住職は、何とか鐘楼にたどり着き、鐘をついてまわりに火事を知らせました。でも、この火事でもんは逃げ遅れて死んでしまいました。
それから1年経たないとき、出入りしていた石工がもんの供養のために像を建てました。
庫裏と本堂の再建には6年かかりました。それまではプレハブで過ごしたそうです。だから本堂ができてから、まだ10年くらいしか経っていない新しいものです。
もんは、火事を知らせて犠牲になった犬だったのです。
火事を知らせた犬というと、草津市の眞教寺には「忠犬妙雪の碑」があります。
明治32年11月23日の夜半、寺に拾われた犬の「白(しろ)」が、普段と違って吠えるので、何事かと思って本堂を開けてみると、煙が立ち込め燃えていたので、驚いて消し止めました。
この碑は昭和7年1月、「白」の三十三回忌に、寺の火事を知らせ大事に至らなかったことに感謝して、住職が「白」のために建てたものです。「妙雪」とは「白」の法名だったようです。
犬は鋭い感覚を研ぎ澄まし、危険を察知しいち速く人間に教えてくれます。
ついでに言えば、「お犬さま」も火災除け・盗難除けのご神徳があるとされていますが、この危険察知能力の高さが元になったのでしょうか。
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