« 2021年3月 | トップページ | 2021年5月 »

2021/04/30

【犬狼物語 其の五百五十六】山梨県丹波山村 「狼伝承と登る七ツ石山」展の図録

Img_8990

 

「狼伝承と登る七ツ石山」展の図録を送っていただきました。再建記念として発行したものです。

なんという表紙なんでしょうか。玉川麻衣さんのお犬さま。お犬さまの世界に引き込まれてしまいそうです。

いったんこの世界に入ったら出てこれなくなってしまうような怖さを感じます。でも、矛盾するようですが、怖さと同時に、その世界が自分の居場所であるような安らぎも感じます。

1回目の展示で、写真の佐治田さんに会い、七ツ石神社の存在を知りました。崩れてしまいそうな神社の様子に衝撃を受けました。そしてこの神社の再建プロジェクトの話を聞いた時、ピンとくるものがあり、プロジェクトのリーダー・寺崎さんを取材をさせていただきました。それまでも狼信仰の取材を続けていましたが、昔の民俗としての狼信仰ではなくて、「現代に生きる狼信仰」というものがずっと頭にあったからです。

再建プロジェクトが進み、2018年11月7日には、七ツ石山で、「七ツ石権現社旧社地」のお披露目の会に立ち会うことができました。プロジェクトの様子は、前著『オオカミは大神』にも書かせていただきました。

なので、この図録は、個人的にも思い出の品だし、またプロジェクトの記録として、将来的には貴重な資料にもなると確信しています。

 

 

| | コメント (0)

2021/04/29

【犬狼物語 其の五百五十五】千葉県千葉市 花見川区長作町の三峯神社

287a4291

287a4307

287a4305

287a4308

長作町の三峯神社は、花見川の右岸、住宅街の中に鎮座します。車の駐車スペースに困ってしまうような、けっこう込み入った路地です。

でも意外と開けた感じがするのは、それほど高いビルが周辺にないからでしょうか。それと清潔感がありますね。ちゃんと管理されているようです。講も存続しているかもしれません。

なぜか祠の中ではなくて、外に三峯神社のお札が祀られていました。

 

 

| | コメント (0)

2021/04/27

NHK大河ドラマ「青天を衝け」

Img_7946

Img_1444

161030_5

 

今までもNHK大河ドラマを観てきましたが(つまらなくなって途中で観なくなったものも多いですが)、「青天を衝け」ほど、まじめに、積極的に、興味を持って観ることは初めてです。

なぜか、というと、たまたま執筆中だった『オオカミは大神 弐』の時代と合致するところがあったためと、有名な戦国武将とか政治家ではなくて、地方の農村の暮らしぶりが丁寧に描かれていて、その民俗が面白いと思うからです。

前々回あたりは、栄一の姉が狐憑きに罹り、修験者に祈祷してもらう話とか、江戸ではコレラが流行りましたが、それが異人がもたらした病であったことで、ますます攘夷思想に拍車をかけたこととか、『オオカミは大神 弐』にも、このような話を狼信仰とからめて書いています。

前回は、栄一と千代に生まれた初めての子どもが麻疹にかかって亡くなるというものでした。昔はそうだったんだなぁとあらためて思います。多産多死です。それと、しょっちゅう疫病が流行していたということです。この時も麻疹とコレラが同時に流行したそうで、20万人が亡くなったという。

子どもが全員すべて順調に育つという感覚は、昔はなかったのですね。だから、子安信仰というものが盛んだった理由もわかります。

かつて、栄養も医療環境も良くなかった時代は、出産・子育てはたいへんなことで、難産の末に亡くなってしまう赤ちゃんや、栄一の赤ちゃんのように病で亡くなるケースも多かったのです。このため、安産・子授け・子育てを神仏に祈願することが熱心に行われました。これが子安信仰です。全国には子安信仰の犬像がたくさんあります。(写真は、水天宮の「子宝犬」)

そして3年生きたら、とりあえずの第一関門をクリアしたなぁという安堵感が、栄一の母の言葉からも伝わってきました。だから、七五三という儀式も、意味があったわけですね。3歳を迎えることがどれだけ親たちにとって嬉しかったことか。そして、さらに5歳、7歳と生きてくれたらもう安心です。「7歳までは神の子」と言われたそうです。

そういう感覚は、現代の医療が発達した世界では、もうなくなったものです。でも「青天を衝け」は、その感覚をあらためて想像させてくれるのです。そこが積極的に関心を持って観る理由ですね。

 

 

| | コメント (0)

2021/04/26

【犬狼物語 其の五百五十四】埼玉県横瀬町 武甲山(日本近代化と狼信仰)

Jpeg_20210426061301

02_mg_2430s

02_mg_9456

02_mg_9404

287a5647

287a5757 

 

先日のNHK「ブラタモリ」では、埼玉県横瀬町の武甲山が出てきました。

武甲山の石灰岩を運び出すための秩父鉄道に資金援助したのが渋沢栄一だったという。渋沢は、日本の近代化のため、コンクリートの原料となる石灰岩に目を付けたということですね。

武甲山が削られているのは北面の石灰岩ですが、南面は玄武岩だそうで、武甲山は2つの種類の岩からなっている山だということを「ブラタモリ」で知りました。

ちょうど山頂に鎮座するのが武甲山御嶽神社ですが、石灰岩と玄武岩の境目らしい。

そこであたらめて考えてみると、武甲山は、自分の身を削って日本の近代化に貢献したともいえますが、神であったはずの武甲山を削るという話が出たとき、人々はどのような反応をしたのか、興味のあるところです。

日本が近代化した明治時代は、ニホンオオカミが絶滅した時でもあります。ニホンオオカミが神から害獣へと人々の認識が変化していくことと、ご神体であった山がやがて削られることは、近代化の中では同じ流れだったのでしょう。

『オオカミは大神【弐】』のカバーで使っている写真は、武甲山御嶽神社、一の鳥居のところにいるお犬さまですが、このお犬さまも、「通行の邪魔になるから」という理由で、産業道路から、一の鳥居に移されました。

いってみれば、明治以降、狼信仰は近代化に飲み込まれてしまったのです。でも、だからといって、狼信仰がなくなったわけではありませんでした。

お犬さまたちが、「三峯講」や「御嶽講」という舟に乗って、近代化という波に押し流されながらも、静かに、したたかに、都会に浸透し、山を守っていたのと同じように、今度は、山の分身であるコンクリートでできたビル群を守っているようにも見えてきます。中には、お犬さま自身が、近代化の象徴ともいえるコンクリートに姿を変えてもいるのです。

 

 

 

| | コメント (0)

2021/04/25

【犬狼物語 其の五百五十三】千葉県船橋市 秋葉神社

287a4376_20210425063201

287a4383

 

287a4363

287a4337

 

船橋市の秋葉神社を参拝しました。

社殿に向かう階段の両脇に狼か狐と思われるレリーフが施された柱が立っています。境内には稲荷神社もあるし、直立した尻尾から狐のレリーフかもしれません。

階段を6段ほど上ると、正面に社殿があり、両脇に台座に載った地面からの高さ1.4mほどのお犬さま像がいます。

右が足元に子どもらしい像を伴った子連れの像、左は、巻物を持った像です。

台座には明治三十年九月の銘がありました。

光が差し込むのを待ちます。お犬さまが息をする瞬間です。

| | コメント (0)

2021/04/22

【犬狼物語 其の五百五十二】千葉県千葉市 千葉寺前の三峯神社

287a4282

287a4252_20210421090801

287a4259

287a4255

287a4263

 

千葉市の千葉寺を参拝しました。

千葉寺は和銅2年(709)に創建された市内最古の寺院です。山門を入ると、本堂前の大イチョウが目に飛び込んできます。高さ約30メートル、幹の太さ8mあり千葉県の天然記念物に指定されています。

バス通りに面した山門の向かい側には細い下り坂があります。どうやらこれが昔の表参道のようです。これを下っていくと京成千原線の千葉寺駅に至ります。

その坂の右側に広さ15畳くらいの境内の三峯神社が鎮座します。

石の鳥居は平成23年11月吉日とあります。奥に祠が立ち、その手前では一対のお犬さまが守っています。けっこう姿はリアルです。が、狼というより、鬣が豊富なジャーマンシェパードのようです。

体の毛の表現がはっきりしています。ここまで毛を深い刻みで表現したお犬さまはなかったように思います。右が「あ」で、左が「うん」。お犬さま像に文字などは見えません。

祠の左側には、「御眷属の由来」と書いた碑が立っていて、秩父・三峯神社との関係が書いてありました。

「(略)当社ではこれを大口真神(おおぐちのまがみ)と敬いお犬様とたたえて尊崇して居ります。この素晴らしい御威力にすがって火防盗難除諸災消除を祈願する 慶応四年五月千葉寺表方秋元與惣兵衛は表方の丘陵地高台に三峯神社の社を建て表方の守護神とした 平成二十三年此の社も永年の風雨に朽ち新に改築する 平成二十三年十二月吉日 表方氏子一同」

とあります。

 

 

 

| | コメント (0)

2021/04/21

【犬狼物語 其の五百五十一】今日4月21日は、初代忠犬ハチ公の銅像の除幕式

287a5982

 

1934年の4月21日、忠犬ハチ公の銅像の除幕式が行われました。

この除幕式には、ハチも参加したそうです。生きているうちから自分の銅像の除幕式に立ち会ったのは、数ある犬像の中でも、ハチ公しかいないのではないでしょうか。

でも、この銅像は初代の話です。現在の銅像は戦後造られた2代目です。この2代目は、初代を造った安藤照の息子さんの安藤士さんが造っています。

再建当時は駅前広場の中央に北向きで建っていたそうです。それが、1989年5月に駅前広場が拡張されたときに、現在の場所に移動され、同時に東向きに置かれたそうです。

「東向き」? 

これがある奇跡を生み出しました。

その「奇跡」については、『オオカミは大神(弐)』でも書いているのですが、東には何があるかというと、江戸時代から位置が変わっていない宮益御嶽神社です。

なんと、ハチ公は、300m隔てて、御嶽神社のお犬さま(あ形)と向き合う格好になったのです。これが奇跡といわずなんというでしょうか。

だから俺は「渋谷は@@@@@@@」と呼ぶことにしたんです。(もったいぶりますが、これは本を読んでください)

 

 

| | コメント (0)

2021/04/17

【犬狼物語 其の五百四十九】千葉県船橋市 船橋大神宮の三峯神社

287a1523

287a1511

287a1515

287a1517

 

以前、船橋大神宮を参拝した時は気がつきませんでしたが、境内社として三峯神社がありました。

船橋駅方面の大神宮下からの階段を上った、船玉神社の隣です。残念ながら狼像はなさそうです。関東各地、この2年でかなりの数の三峯・御嶽神社を参拝しましたが、ネットにもあがってなかった狼像があったのは、わずか3か所。

その代わりというのもなんですが、社務所の近くには稲荷神社があって、味わい深い狐像がおりました。

 

 

 

| | コメント (0)

2021/04/15

『オオカミは大神(弐)狼像をめぐる旅』の予約PV

 

音楽は、インドネシア・バリ島のガムランふうのオリジナル音楽です。現地バリ島での儀式での歌をミックスしています。

どうしてBGMをこれにしたかというと、日本の狼神社と、バリ島のヒンズー寺院の雰囲気が似ていると思っているからです。

どちらもアニミズム的なカミを敬い、自然に感謝する姿に共通するものを感じています。

だから言葉はバリ語ですが、そんなに違和感がないと思うのは、俺だけでしょうか。

| | コメント (0)

2021/04/11

【犬狼物語 其の五百四十八】千葉県旭市 日月神社の三峯神社

287a4112

287a4119

287a4124

287a4132

287a4133

 

日月神社の三峯神社を参拝しました。

一の鳥居を入っていくと、石を置いた参道が続きます。両側は砂です。雨の日でもこの石を伝っていけば靴も汚れなくて済みそうです。

平成13年5月の改修記念碑が建っています。

社殿の左側へ回り込むと、奥に三峯神社が鎮座します。木の鳥居の奥は、浅間大神、金毘羅神、三峯大神、3柱の合祀の祠です。

その前でお犬さまが守っていますが、1体だけです。もう1体は元からなかったのか、それとも1対だったものの片方がいなくなってしまったのか、わかりません。

鳩胸で、どこかもっちりとした印象です。歯は細かくはっきりと表現されています。

 

 

| | コメント (0)

2021/04/06

【犬狼物語 其の五百四十七】千葉県銚子市 清水町の三峯神社

287a4041

287a4044

287a4060

287a4051

287a4053

 

銚子電鉄本銚子の駅から数分、海静寺の境内に三峯神社の社がありました。

初め場所がわからず、小学校の正門へ行ってしまいましたが、そこに中学生らしき男の子たちが4人いたので、裏の神社へはどこから行くの?と聞いたら、神社の場所は知らないが、何かいろいろある場所は、坂を下った途中の石段を上がると教えてくれました。

それで道を引き返し、その石段の登り口に差しかかったとき、先ほどの男の子たちが自転車でやってきて、「これです」とわざわざ俺に教えるために来てくれました。「たぶんこの上だと思う」というと、安心したようで、また駅の方へ戻っていきました。こんな気遣いがふとうれしく感じてしまいます。

でも、寺の裏から上ったようで、小学校の手前の駄菓子屋でさらに尋ねたところ、寺の裏側から境内に入ることができました。そこが海静寺でした。

社務所にいた奥さんに、三峯神社のことを聞いたら、そこを上っていくとありますよということでした。ついでに聞いたら、三峯講はすでになく、お札を祀ることもなっているという。

いわれた通り小道を上っていくと、途中に社があって、それが三峯神社でした。両側にはお犬さまが守っています。両方とも、鼻先は無くなっていますが、体の曲線は美しい像です。

像の隣に置いてあった水盆には「天保」という文字が刻まれていました。お犬さまの像はいつのものなのでしょうか。

 

| | コメント (0)

2021/04/05

『オオカミは大神 弐  狼像を巡る旅 』の予約ページ

Jpeg

 

amazonに、予約ページできています。 

今回の表紙の写真は、武甲山御嶽神社の一の鳥居に建つ狼像です。

これはもともと別なところ(産業道路)に建っていましたが、大型車が通りづらいということで、こちらに移されたそうです。

苔がまるで体毛のようでもあり、長い時間を感じさせるすばらしい狼像だと思います。

 

オオカミは大神 弐 狼像を巡る旅 – 2021/6/14

 

 

| | コメント (0)

2021/04/03

【犬狼物語 其の五百四十五】茨城県行方市 手賀の三峯神社

287a3985

287a3962(三峯神社)

287a3983(稲荷神社)

287a3969

287a3975

 

霞ケ浦の北東側、行方市の三峯神社を2社参拝しましたが、芹沢の三峯神社の方は、本に載せるので、出版後紹介します。

もう1社の、手賀の三峯神社ですが、こちらは、吒枳尼天を祀った稲荷社の隣に建つ屋根覆いに守られた祠でした。

でも、残念ながら、三峯神社に狼像はありませんでした。そのかわり、その朽ちかけた稲荷社の前には、新旧2対の狐像がいました。

そのなかで古いほうのものは大正~昭和初期くらいの古さでしょうか、右側のは足がなくなり、寝かせてありました。左側の狐像も、手を失い、鼻先も壊れています。

| | コメント (0)

2021/04/02

【犬狼物語 其の五百四十四】茨城県稲敷市 上之島三峯神社

287a3803

287a3879

287a3884

287a3832

287a3821

 

茨城県稲敷市上之島の三峯神社を参拝しました。

オープンスペースな境内は用水路に面していて、まわりは水田で、民家はありません。複数の神社が鎮座する一角に、三峯神社も鎮座します。

赤い木の鳥居に注連縄がかかり、夕暮れの境内は光と闇の間、いい雰囲気です。鳥居の先に、高さが1.8mくらいの三峯神社と彫られている石祠があります。その右側には、5基の古碑や祠が並んでいます。ほとんど字が読めませんが、かろうじて「湯殿山供養塔」と読めるものあり。

祠には奉納した人の名前が刻まれています。昭和12年に建てられたようです。

高さ20cmの一対のお犬さまが祠を守っています。右側は左足を失っている。左側も右足が宙に浮いたようになっていて修理のあとが見えます。

 

| | コメント (0)

« 2021年3月 | トップページ | 2021年5月 »