【犬狼物語 其の五百七十一】神奈川県厚木市 上荻野御嶽神社
今日は、厚木市上荻野の御嶽神社です。
国道421号線から西へ300mほど入った、荻野川の対岸に鎮座します。
橋を渡ると杜へ入る道へと 続きます。さらに上にはゴルフ場もあって深い山ではなさそうなのですが、けっこう鬱蒼とした杜で、お犬さまがいる聖域としてはふさわしいかなと思いました。
鳥居をくぐり、石段を上っていくと、真っ赤な社が建っていて、左右に1対のお犬さまがいます。残念ながらどちらも顔の部分が壊れています。台座を見たら「昭和三十六年十二月」という銘が。お犬さまの像自体も昭和36年なのか、台座だけなのかわかりません。どうも石の風化の感じが異なっているように思いました。
あとで調べてみると、次のHP「神社訪問記」(http://zinzyasanpai.web.fc2.com/14/atugi/983.htm)には、御嶽神社の記載がありました。出典は(『厚木市の歴史探訪5-神社』厚木市文化財協会 2007年1月)だそうです。
「青梅市御岳山に祀られる武蔵御嶽神社を本社とする」「久保・泉地区の氏子27戸で祀る」「現在の社殿は昭和35年四月八日に建立した。社殿前の左右には狛犬ならぬオオカミが鎮座している。これは大正十四年に建立」「オオカミの口が欠けているのは、ここに塩を上げる信者がいたからなのだそうだ」
お犬さま自体は大正14年に奉納されたようです。やっぱり「昭和三十六年」というのは、社殿建立の翌年、台座を新しくして大正時代のお犬さまを載せたということのようです。
そして口が欠けているのは、奉納された塩のせいらしいということです。狼と塩。狼の伝承の中には、「狼は塩好き」という話がたくさん出てきます。送り狼に塩を与えて帰ってもらうとか、狼が獲って食べ残したもの(イヌオトシ)を頂戴するときにも塩をお礼に置いたとか・・・。
でも、ここが直感的に「いい」と思ったのは、やっぱりロケーションですね。こういった場所にたたずむお犬さまを見るとなぜか心を揺さぶられます。
| 固定リンク
コメント