2021/09/26
2021/09/25
めぐりジャパン
今まで「まなびジャパン」として日本の自然・文化を紹介していたサイトは、「日本の文化を日本と世界に向けて広く伝えることを目的とする」という理念で「めぐりジャパン」としてリニューアルされ、公開されています。
「まなびジャパン」で俺が連載していた「棚田を歩く」や「狼信仰」や「残しておきたい日本の風景」は、そのまま移行されます。(まだ完全に移行作業は終わっていないようです)
「棚田を歩く」の「白米千枚田」
https://meguri-japan.com/exploring-the-regions/20210902_6302/
「狼信仰」の「七ツ石神社の再建プロジェクト01」
https://meguri-japan.com/legacies/20210906_6584/
「残しておきたい日本の風景」の「大内宿」
https://meguri-japan.com/exploring-the-regions/20210803_799/
2021/09/24
【犬狼物語 其の五百七十七】東京都目黒区 目黒不動尊の都内で一番古い犬像
都内で一番古い犬像は、先日紹介した、都内で一番古い狛犬がある同じ東京都目黒区の目黒不動・瀧泉寺にあります。仁王門前の1対の犬像です。両方とも子犬を抱えています。文久2年(1862年)奉納。(ちなみに、全国で一番古い犬像は、成田市の成田不動妙見宮前のものだそうで、正徳元年(1711年)奉納)
顔つきが三峯神社の文化7年(1810)奉納の狼像と似ていなくもありません。耳は垂れていますが。犬像は52年後の作となります。影響はあるのでしょうか。
「独鈷の瀧」のさらに西側の前不動堂前にも、首を垂れて畏まって控える1対の犬像があります。地主神の神使といわれる和犬像ですが、じゃっかんあばらの表現もあって、狼像の影響もあるようです。これも、文久2年作という情報があります。
境内には弘法大師ゆかりの犬像、地主神の神使の犬像など、多くの犬像があることで有名です。とくに「親子」がテーマであるらしい。ただ由来がはっきりしたものではないようです。寺でもわからないようだし、ネットで調べても、「これだ」という理由は見つかりません。
「仏の慈悲・慈愛とか、子孫繁栄とかいったものを象徴しているのかも知れない」(神使の館より)という推理は納得できるものです。
日本各地には「犬」、「女」、「水」が関係する場合も多くあります。雨の予知や水場の発見など、犬の持つ鋭い嗅覚が人間には神秘的にも見えたようです。それと、犬が楽にお産をすることなどから、安産の神様になったりします。
いろんな願いが重なり結果としてここに親子の犬像が多くなったのかもしれません。
2021/09/23
2021/09/20
中秋の名月を杯に映す
明日は中秋の名月。写真は今夜の月をチベット茶用の杯の水に映したものです。(明日夜の天気は怪しいので今夜撮影)
『竹取物語』には、月を眺めるかぐや姫が、月を見るのはよくないですよとたしなめられる場面があります。
月見の慣習が中国からはいってきて、月見を楽しむと同時に、月を見てはいけないという禁忌もあったらしいのです。
平安貴族は月を直接見ることをせず、杯や池に映して楽しんでいました。「満月が終わりの象徴」という説もありますが、なぜ直接見るといけないのか、はっきりわかりません。
とにかく、月を見る(とくに女性が)ことに関しては、世界中に禁忌があります。
西洋でも月が人間を狂気に引き込むと考えられていたようです。「狂気」のことを英語では「lunatic ルナティック」。語源は後期ラテン語「lunatics」=「月に影響された」。「lunacy 」 =「精神異常。狂気」、「moonstruck」=「心が乱れた。狂気」 という言葉もあります。
そういえば、月は「映す天体」です。自分からは光りません。明るいのは太陽の光が反射しているからです。
だから水に映すのは、2重に映していることになります。まるで「合わせ鏡」のようです。
どうも世界中の言い伝えには、月は「狂気」と結びついているものがありますが、きっと月は見る人の心も映すからです。自分の深層心理を直視するのが怖いのかもしれません。
永遠と続きそうな「合わせ鏡」はそれだけでも十分に怖いですが。とくに合わせ鏡の間に立った自分の姿だけひとつしか映っていないときなんかは…

2021/09/19
2021/09/18
今日から二十四節気「白露(はくろ)」、オリジナル七十二侯「曼珠沙華咲(まんじゅしゃげさく)」
「曼珠沙華咲(まんじゅしゃげさく)」などという七十二候はありません。オリジナル(というか、勝手な)七十二候です。略本暦では、七十二候「玄鳥去(つばめさる) 燕たちが暖かさを求めて南に渡りはじめるころ」になっています。
でも、田園風景の写真を撮っている俺からすると曼珠沙華(彼岸花)が目立つので、このオリジナル七十二候の方が季節を感じるからです。
二十四節気は観念的な言葉ですが、七十二候の方はより具象的事物の表現で、言ってみれば「季節あるある」なのです。だから遊んでみてもいいのではないでしょうか。俺の場合は、「曼珠沙華咲」がぴったりくるかなぁと。
ところで、埼玉県日高市の巾着田は曼珠沙華で有名な場所ですが、このパンプレットには英語名が「Red Spider Lily」となっていました。これをそのまま和訳すると「紅蜘蛛百合」。たしかにそんな名前もぴったりします。
同じものなのに、名前の付け方でより妖しさが増します。危険な香りが漂ってきます。
2021/09/17
2021/09/13
【犬狼物語 其の五百七十六】埼玉県所沢市 武蔵野坐令和神社の白狼祭と「お犬さま(狼像)巡礼88」
武蔵野坐令和神社の白狼祭に招待されて参列しました。
神事では、神前で百合之介さんの狼舞が奉納されました。目の前で拝見することができ、感動しました。
神事後、参列者のみなさんに『オオカミは大神』の紹介と狼像や狼信仰についての話をさせていただきました。狼と犬との区別は、日本ではあまりなかった事情とか。
そして白狼祭の特別なお札をいただきました。お犬さまの姿も入っています。
秩父三峯神社、武蔵御嶽神社が、関東地方の狼信仰の総本山といえますが、享保5年(1720年)日光法印が御眷属拝借として、狼のお札の配布を始めてから狼信仰が盛んになったという事情があります。それからすでに約300年。そろそろ狼信仰に新しいエネルギーを注入してもいいのかもしれません。
そこでひらめいたのが、武蔵野坐令和神社 の「アニメ聖地88」に因んで、「お犬さま(狼像)巡礼88」を選んで、巡礼路のようなものが作れたら面白いかなと。そして両方ともここが「一番札所」ということに。武蔵野から発信する狼信仰の地として。
狼信仰がこれからも続いていくためには、新しい仕組みが必要ではないかなと思います。日光法印も、お犬さまの効力は1年で弱くなること、また、1体のお犬さまの効力が50戸までという仕組みを作ったわけですね。
なので、令和の狼信仰では、前から言っていることですが「お犬さま」がキーワードだと思います。狼信仰について知らない人にとって「お犬さま」と聞けば「犬」を意味するだろうし、狼信仰について知っている人であれば「狼」を意味します。どちらでもウェルカムなのです。その点、武蔵御嶽神社のペット参拝にも通じる柔軟性です。
だからこの「お犬さま」の像をめぐる巡礼では、犬連れでもいいし、狼信仰をイメージしながらでもいいということです。『オオカミは大神 弐』では巻末に狼像のリストを載せていて、全部で116か所あります。関東地方でなら、88か所くらいがちょうどいいかもしれません。
理想を言えば、その巡礼地それぞれでお犬さまのお札をいただければいいのですが、神社によってはお札がなかったり、神職、管理者が不在のところも多いので、それは現時点では難しい。ところが今はほとんどの人がスマホを持っています。だからそのスマホでお犬さま像の横に設置したQRコードを読み込むことで、電子的なお犬さまのお札をいただける、という仕組み作りはできるのではなでしょうか。もちろん賛同してくれる神社のみです。
あるいは、お犬さまの写真を撮って、「お犬さま巡礼88ポータルサイト」にアップすることで「結願」できるとか。こういう仕組みですね。
そしてこれに収益性を持たせて、お犬さまのいる神社の管理費や維持費にすべて充ててもらうという仕組みです。
アイディアはあるんですが、これを実行するとなると、俺だけではできません。まずはプロジェクト実行部隊の結成でしょうね。アイディアを具体化してくれる人、だれかいませんか。
2021/09/07
2021/09/02
日本茶喫茶・ギャラリー楽風(らふ)では、犬・狼像のカード無料プレゼント
先日まで写真展『オオカミは大神』開催していた日本茶喫茶・ギャラリー楽風。
暑い中、写真展にお越しいただいた皆さま、ありがとうございました。
写真展は終わりましたが、青柳撮影の犬像と狼像のカード(2種類、はがき大)を無料で差し上げることになりました。表は像の写真で、裏には解説文と書籍のPRが入ったものです。
お立ち寄りの際は、スタッフに声掛けしていただければ、カードをもらえると思います。
なお、書籍購入のお客様には、引き続き、狼像が入ったお札ふう作品(新型コロナ収束祈願&SDGs持続可能な開発目標)も差し上げています。
ギャラリー楽風
〒330-0064 埼玉県さいたま市浦和区岸町4-25-12
048-825-3910
http://rafu-urawa.com
2021/09/01
【犬狼物語 其の五百七十四】 東京都世田谷区 代田広場の狐塚之霊碑
先日、撮影で世田谷区へ行くことがあり、そのとき、近くに「狐塚」があることがわかりました。なんとなく、ピンとくるものがあり、知った以上は寄るしかないだろうな思い、仕事終わりに代田広場へ行ってみました。
狼信仰にゆかりの場所を調べていると、時々「狐」に行き当たります。
それは、もともと狐憑きには狼が効くといった信仰があったし、江戸時代のコレラ禍でもそうだったように、コレラの原因が、異国から来た妖狐にとりつかれたからという妄想から、狐に勝てるのは狼しかいないということになり、三峯神社など、狼信仰に頼ったという経緯がありました。そのことについては何度も書いているし、『オオカミは大神 弐』でも詳しく書いています。
それと狼信仰が盛んになった江戸時代よりずっと前は(おそらくは縄文時代から)、アニミズムとしての狼信仰だったようですが、時代が下って、狼が狐に置き換わったという説もあり、狼信仰と狐信仰は関係あるようなのです。
『日本書紀欽明天皇紀』には「秦大津父(はたのおおつち)」の話があります。
要約すると、
商人であった秦大津父は、山道で、二頭の狼が血を出して争っているのを止めました。「汝は、これ貴き神」と呼びかけ、もし猟師に見つかったら捕らえられてしまうからと、咬み合うのを止め、血に濡れた毛を洗いぬぐって、両方とも無事に放してやりました。その後、天皇が不思議な夢を見て、秦大津父を探し出し、大蔵省(おおくらのつかさ)に任じました。
と、いった話です。
そしてこの秦氏にはこんな話もあります。
伏見稲荷大社の「社伝によれば、渡来系・秦氏族の秦伊呂巨具(はたのいろこぐ)によって和銅4年(711年)創建という古社」だそうで、稲荷神社の創建にもかかわっています。狼を「貴き神」と呼びかけたのも秦氏です。ここでも狼と狐の関係がありそうです。
狼から狐に変わっていったというのは、今のところはっきりしませんが、狼に狐の影がちらちらしているのは間違いありません。
ところで、この代田広場の「狐塚之霊碑」ですが、「碑」のつくりが「界」に見えますが、「碑」なんでしょうね。Google Mapには「栗原稲荷神社跡」とあるので、昔は稲荷神社が鎮座していたらしい。今は、児童公園になっていて、真ん中にこの碑が建っているだけなので、意味を知らないと、明るい公園といった雰囲気です。
でも、碑の内容はおどろおどろしいものです。これは病気の人々に憑いた狐を行者が祓って封じ込めた記念碑のようです。もしかしたらこの塚の中にくだんの狐が封じ込められているのかもしれません。
世田谷区生活文化部文化課発行の『ふるさと世田谷を語る』には、
「この公園の中央には高さ一メートルほどの「狐塚の碑」と書かれた碑が建てられています。これは、昔この辺りが雑木林やスギ、マツ、ヒノキ、キリ、ウメなどの林、竹やぶなどの多かった所で、キツネ、タヌキ、イタチ、ノウサギなどが住みついていた場所であることと関係あるのです。
これら小動物の中で、キツネは稲荷信仰の神使として稲荷神社では大切に祀られていましたが、その一方で悪さをしたりする動物でもありました。
明治五年頃、この栗原では、病気になったり、不慮の事故にあったりする人が続出しました。行者にみてもらったところ、これはキツネに取りつかれたためだということになりました。そして行者の祈祷によって、人間に取りついたキツネの魂を引き離して、稲荷神社の境内に封じ込めたのです。狐塚の霊碑は、キツネの霊魂を祀った石碑なのでした。
今でも地域の有志の人々によって、建碑の明治三十二年三月六日に因んだ毎年三月六日には、交代で供物を捧げ、お参りしているということです。」
碑の後ろ、碑文の写真でも確かめてみましたが、「馬込」「御嶽」と書いてありました。こちらのHP「武蔵野・多摩MTB散歩」の「狐塚之霊碑」(http://nobish.html.xdomain.jp/2669fox.html)
にも、「馬込村の御嶽神社から人を呼んで御祓いをしてもらった記念碑」とあって、「行者」は、御嶽神社の関係者だったらしいです。つまり、お犬さま(狼)で、狐を祓ったようです。
だからここも狼信仰由来の場所といってもいいでしょう。
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