中秋の名月を杯に映す
明日は中秋の名月。写真は今夜の月をチベット茶用の杯の水に映したものです。(明日夜の天気は怪しいので今夜撮影)
『竹取物語』には、月を眺めるかぐや姫が、月を見るのはよくないですよとたしなめられる場面があります。
月見の慣習が中国からはいってきて、月見を楽しむと同時に、月を見てはいけないという禁忌もあったらしいのです。
平安貴族は月を直接見ることをせず、杯や池に映して楽しんでいました。「満月が終わりの象徴」という説もありますが、なぜ直接見るといけないのか、はっきりわかりません。
とにかく、月を見る(とくに女性が)ことに関しては、世界中に禁忌があります。
西洋でも月が人間を狂気に引き込むと考えられていたようです。「狂気」のことを英語では「lunatic ルナティック」。語源は後期ラテン語「lunatics」=「月に影響された」。「lunacy 」 =「精神異常。狂気」、「moonstruck」=「心が乱れた。狂気」 という言葉もあります。
そういえば、月は「映す天体」です。自分からは光りません。明るいのは太陽の光が反射しているからです。
だから水に映すのは、2重に映していることになります。まるで「合わせ鏡」のようです。
どうも世界中の言い伝えには、月は「狂気」と結びついているものがありますが、きっと月は見る人の心も映すからです。自分の深層心理を直視するのが怖いのかもしれません。
永遠と続きそうな「合わせ鏡」はそれだけでも十分に怖いですが。とくに合わせ鏡の間に立った自分の姿だけひとつしか映っていないときなんかは…

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