大阪府能勢町 長谷の棚田
まったく偶然なのですが、狼像を求めていたら、なんと、何度も撮影している大阪府能勢町長谷の棚田を再訪することになりました。この隣村、神山にある慈眼寺に狼像があったのです。
棚田を撮影しているときは、まだ狼像や狼信仰は知らなかったので、当然、こんな近くに狼像があるとは思ってもみませんでした。
もちろんこれは偶然なのでしょうが、「棚田」と「狼信仰」が交差する土地になりました。
狼像についてはまた後日書きます。
【以前雑誌に掲載した記事】
大阪の街に比較的近いところにある棚田というだけで興味は引かれた。都会から近いし、どうせたいしたことはないだろうと高をくくっていた。 しかし「意外にも」という言い方は現地の人に失礼かもしれないが、伝統的な日本家屋も残っているし、三草山のふもとの斜面は棚田になっていて、かなりいい里山風景なのだ。 美しい風景は、それだけで人の気持ちをいやしてくれたり、感動させたりしてくれるのだが、ここに隠し味が加わると、感心度が高まる。 普通に見ていると「ガマ」があることはなかなかわからない。「ガマ」とは、横穴式の石組みの上に土を盛って田んぼにする独特の灌漑施設のこと。つまりトンネルの水路だ。これは田んぼの灌漑だけでなく、洪水調節の役割も果たしているという。全国各地で、似たようなものがあるが、ここでは「ガマ」と呼んでいる。 私たちは「風景はタダ」といったような誤解をしてしまいやすい。もちろん田園風景は、農家の人たちの日々の作業があるからこそ保たれている。こんな「ガマ」の技術も農家の人たちの生活から生まれた試行錯誤の結果なのだ。 こんな知恵が隠されているんだなぁと思うと、風景の見方が少し変わってくるような気がする。
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