【犬狼物語 其の五百八十七】鳥取県琴浦町 智積寺
豊栄神社からさらに南へ2㎞ほど南下し竹内の集落で、智積寺を探しましたが見つからなかったので、商店で場所を教えてもらいました。
智積寺は県道289号線から少し外れた小高い山にありました。
それほど深い山ではないのですが、鬱蒼とした杜の中に続く階段があり、落ち葉を踏みしめながら登っていくと、まず1対の狼さまが迎えてくれます。
境内はシーンと静まり返って、神秘的な雰囲気を漂わせています。異界との境界で、何ものかが現れるような、そんな雰囲気。昔読んだた石ノ森章太郎の竜神様のマンガを思い出しました。
狼さまの高さは約90cm。立派な石像で、右側が「あ」像、左側が「うん」像で、向かい合わせで立っています。牙の表現もあり、尾は尻から後ろ足許に添わしてあり、典型的な狼の姿です。
台座には「船」の文字が彫られています。船上山の「船」でしょうか。智積寺はもと船上山にあったといいます。
「本尊・脇立の墨書胎内記などから、室町時代後期の享禄三年(一五三〇年)に船上山頂に創建され、初めは十三の坊舎があった。しかし、その後の戦乱により何度か焼失し、尼子氏や南條氏により再建されたが、寺領の減少などにより、文禄年間(一五九二年~九五年)に船上山三所権現として本尊・脇立を山頂に残し解散した。その後、最後の寺坊の大乗坊がこの地(竹内村)に庵を構え、大雲院(鳥取)の末寺として後に智積院・法蔵院と寺号を変えて山下から船上山を守護した。明治時代初期の神仏分離により、山頂の仏像をこの地に迎え、大正八年に往時を偲ぶ船上山智積寺に改号され現在に至っている。琴浦町教育委員会」(寺の解説看板)
ここには県指定保護文化財に指定されている梵鐘があります。高さ91cmの青銅製です。この鐘も、寺の移転に伴い船上山から運ばれてきたもののようです。
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