令和5年(2023年)版「旧暦棚田ごよみ」
2023年(令和5年) 旧暦棚田ごよみについて
昨年「旧暦棚田ごよみ」は10周年目を迎えることができましたが、旧暦正月の直後、2月14日、ポスト「棚田百選」とも言える「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」が認定されました。
「棚田百選」は1999年7月に選定され、私はそのリストを頼りに翌2000年にかけて、すべての棚田を周りました。「百選」とは言っても、134カ所あったのですが、今回の「つなぐ棚田遺産」は、全部で271棚田です。数としては約2倍に増えました。中には後継者がいなくなった、耕作放棄地になったという理由でリスト落ちした棚田もあります。
1999年当時は、「タナダってなんですか?」と聞かれたり、自分の棚田が「百選」に選ばれたことを知らない耕作者がいたり、「今さらそんなもの選んでも遅いよ」という声もありました。ただその後「棚田」が一般の人たちにも知られるようになり、各地で棚田が復田されたり、オーナー制度で活気づいたり、都市と農村との交流ができたり、「棚田米」がおいしい米として人気になるなど、棚田と、棚田文化が消えるどころか、ますます勢いを増しているようにも思います。
「つなぐ棚田遺産」の全棚田を周ってみたいという気持ちも芽生えたので、数が多いので時間はかかるでしょうが、この20数年でどれだけ棚田の状況が変わったのか、この目で確かめたいと思っているところです。
ところで、昔の人は、毎日変化する月の満ち欠けに規則性を見出し、暦を生み出しました。ただ、月の満ち欠けだけでは、季節がずれていくので、太陽の動きも考慮したのが太陰太陽暦です。
日本では中国由来の太陰太陽暦を日本風に改良して使ってきましたが、明治6年から太陽暦(新暦/グレゴリオ暦)に変更され、それまで使っていた暦は「旧暦」と呼ばれることになりました。
月の満ち欠けは心理的にも物理的にも、人間の生活に影響を与えるものでした。だから時の為政者たちは暦作りにいっしょうけんめいになりました。暦は世の中の安定を保証するものだったからです。
世界標準となった太陽暦によって科学技術が発展し、豊かになったのも事実なので、否定するものではありませんが、旧暦と新暦の併用を提案したいと思います。中国、台湾、ベトナム、韓国などの国々では旧暦を併用していますが混乱はありません。むしろ旧暦も併用すると生活に潤いが増すような気さえします。
私たちもこの10年旧暦を使ってきて、確実に月を見上げる機会が増えたし、田んぼの稲の様子の移り変わり、周辺の草花、気温の変化などに敏感になったのは確かです。これは旧暦を意識しているからにほかなりません。
新暦に慣れているので、旧暦ごよみは初め使いづらいかもしれません。でも、「使いづらさ」とか「微妙なずれ」が、普段は何気なく、気にも留めないことに意識を向けさせてくれます。それは私たちがこの10年で実感してきたことです。
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