上下逆のモンドリアンの絵画
先日、オランダの抽象画家、モンドリアンの絵画が、75年以上も逆さまに展示され続けていたことで話題になってましたね。
モンドリアンの絵画は、不規則な黒い格子の線と、赤、青、黄の原色の面が特徴的です。この特徴は一度見たらわすれません。
そんなモンドリアンの絵画「New York City I」が上下逆になっていても気がつかれなかったというのはよくわかります。そもそも、こういう絵画に「正しい上下」というものがあるのかどうか。あったとしたら主張できるのは作者だけでしょう。
なぜ逆だとわかったのかというと、モンドリアン自身のアトリエにこの作品が置かれた昔の写真があって、それが上下逆の状態になっていたというのです。
俺だったら、ちゃめっけだして、わざと上下逆にして飾ったりするし(実際学生のころ風景画を逆にして飾ったことがある)、本当のところは分からないんじゃないでしょうか。世間を右往左往させるのも、また芸術作品の役割なのかもしれないし。
ところで上に掲載の写真を見て、違和感を覚えた人がいたなら、鋭い人です。写真の加工はしていません。何が違和感なのか、よく見てみてください。
「Aoyagi Kenji」はわざと入れています。この情報が、この場合、人をだます大きな要素です。
そういえば、ある写真家の先生が、こんなことを言っていました。逆にして見てもいい写真はいい写真だと。コンテストの審査では、逆にして見て判断したこともあったそうです。
つまり、「常識」の中で写真を見続けていると、いいのか悪いのか、わからなくなる。だから逆にするのは「常識」から逃れるひとつの方法ではないかと思いました。逆にすることで、写真を抽象絵画のような感覚で選ぶ、ということです。
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