【犬狼物語 其の六百四十一】福岡県北九州市 到津八幡神社の子守犬と子守石
到津八幡神社に子守犬があります。犬張り子を模した石像です。
「安産と成長守護」が一番のご神徳である到津八幡神社のHPには、子守石について、このようにあります。
「お子様が生まれるまで、お母様の枕元において、お腹の赤ちゃんのお守りとしてお持ち頂きます。無事、お生まれになりましたら、神様に報告する為に中の子守石に赤ちゃんの名前と生年月日を記入して子守犬に納めます。石は後日、神殿に安置します。今後の守護と無事成長を祈念するものです。」
ちなみに子守石を納める場所は、男の子、女の子に分かれています。
犬や石については、以前「産育の石をめぐる民俗」として、埼玉県越谷市の香取神社でも書いた通りです。到津八幡神社も同じように、子安信仰の犬像と石がいっしょに置かれている神社です。
新谷尚紀著『生と死の民俗史』「境界の石」「産育の石をめぐる民俗心意とその儀礼的表現のメカニズム」には、
「同じく小石を身近におきながら妊娠、出産、育児の各段階でそれぞれ民俗としての意味づけが異なっているという点である。出産以前においては、子授けや安産、出産前後には産神、離乳のころには歯がため、というふうにである。」
また、境内には、子安神社も祀られていて、お食い初めで使う歯固めの石は、授与所で頒布しているそうで、使い終わったあとはこの子安神社に納めるとのことです。
石と犬の産育民俗がしっかりと息づいている神社でした。
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