【犬狼物語 其の六百七十】「上野英三郎博士とハチ公」の像
日本犬保存会の「日本犬」令和5年度第2号が届きました。
今回の犬像写真は、東京大学農学部にある「上野英三郎博士とハチ公」の像です。
そして第2号には、興味のある内容の記事が掲載されていました。
「遺伝子研究からわかる日本犬の成り立ち 縄文犬と弥生犬、そして日本犬の誕生へ」というものです。
日本に来た人間は、大雑把に言えば、最初が縄文人、あとで弥生人。それが混血して現在の日本人になりました。それと同じ「二重構造」が犬の場合にも当てはまるようです。
日本にいた狼が日本の犬になったわけではなく、縄文人が縄文犬を、弥生人が弥生犬を連れてきて、それが混血して日本の犬が出来ました。もちろん、長い歴史の中で狼の血が混じった(意図的にも)ということもあるでしょう。
そこで疑問なんですが、最近のDNAの研究で狼に近いのが柴犬というニュースがありましたが、大陸で創り出された犬が日本に来て、そのままのDNAを保ちながら柴犬という犬にそのDVAが濃く受け継がれていると言っていいのかどうか。
もし縄文犬により濃く狼のDNAが残っているのだとしたら、どうして北海道犬や、ハチ公の秋田犬、琉球犬ではなく、柴犬なのかという疑問です。琉球犬の場合は、沖縄が交易の要衝で、犬も混血しやすかったという事情があったらしいので、琉球犬はまだしも、北海道犬や秋田犬ならその濃いDNAを受け継いでいそうなのですが。
そういえば、柴犬については、「日本犬」の令和元年第5号に「日本犬の故郷を訪ねて① 柴犬 島根県益田市」の記事がありました。柴犬「石号」ことが載っています。
石号は、昭和5年生まれで、日本犬保存会に血統登録されたのは昭和11年。
「日本犬保存会で、毎年新たに登録を受け付けている3万頭弱の柴犬はすべて、「父系の血統を遡ると石号にいき着く」ことになる。国内外60万頭いるとされる柴犬、血統上その始まりは、石号なのである。」とのこと。すごい話です。
柴犬は、DNA的には一番狼に近い犬種と言われていますが、結局は石号のDNAということになるのでしょうか。それじゃぁ、石号と縄文犬との関係はどのようであったのか、謎は深まるばかりです。
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