『オオカミ SPIRIT OF THE WILD』
『オオカミ SPIRIT OF THE WILD』は大型のオオカミの写真集です。精悍な姿や、子オオカミのかわいらしさ。オオカミの魅力を余すことなくとらえた決定版。
この中にこのようなキャプションが載っていました。
「人間を別にすれば、かつてオオカミは、世界で最も生息範囲の広い哺乳類だった。地球上には100万頭以上のオオカミが歩き回っていたのである」
なるほど、そうなんだなと、あらためて気がつきました。オオカミの適応能力の高さを表すものでしょう。そして、かつて人間は常にオオカミと接触しながら暮らしていたわけです。
地球上の広範囲で、人間とオオカミは共存していました。
「オオカミは150万年前ごろに、その初期の小型のイヌ科動物の集団から発生した」「ヨーロッパでは40万年前にネアンデルタール人が出現(上)。5万4000年前には現生人類と共存していた(中)。4万年前にネアンデルタール人が絶滅し、現生人類が生き残った」(Wikiより)
つまり、ネアンデルタール人のころにはオオカミも存在していたということになります。
ネアンデルタール人が滅び、ホモ・サピエンスが生き残ったことを「交替劇」と専門家たちは呼んでいます。ただ、東アフリカを出たホモ・サピエンスが、ネアンデルタール人を「駆逐」して広がったというイメージは間違っているようです。同時代に同居していたようでもあるし、混血もしていたようです。「ネアンデルタール人のDNAが現代の欧米人に受け継がれていることが判明した」(Wiki)ともあります。
そこはさておき、昔、何かの本で、「ネアンデルタール人はイヌを飼わなかったから絶滅した」といったような内容を読んだ気がします。
ある説で社、人間がオオカミと接するようになって、オオカミのように行動して考えるようになりました。集団で狩をすること、複雑な社会構造、誠実な友情、縄張り意識などを、それまで持っていなかった人間はオオカミから学んできたというものです。
そこで人間はイヌを作り出し、飼い始めたというのです。
集団で狩をすると個人では倒せなかった獣を倒すことができました。集団行動を取り入れたことが肉体的に弱かったホモ・サピエンスでも発展をとげることができた理由のひとつらしいのです。
そこで今度はイヌの起源はどうかというと、約20000年~15000年くらいまえにイヌは東アジアでオオカミから分離したようだとのことで、イヌを「作った」のはやはりホモ・サピエンスで、ネアンデルタール人ではなかったということになるようです。
歴史に「もし」はありませんが、ネアンデルタール人が、もしイヌを創り出して、飼っていたらどうなっていただろうかと想像するのは楽しい。
実際、イヌの家畜化はネアンデルタール人が行った、という説もあり、まだまだイヌの家畜化がどこで、いつ始まったか、確実な説はないようです。
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