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2023/08/26

【犬狼物語 其の六百八十三】西日本のある神社の狼像

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これは西日本のある神社の狼像です。

造形的にも優れていて、木目がきれいに現れています。子狼でしょうか。二重まぶたで、小さな牙もあります。健気で可愛らしい。

この狼像、今は宮司宅に置かれています。

宮司のおじいさん、つまり先々代の宮司は、馬で神社へ通っていましたが、ある日、明治初期のころ足元で狼を見たことがあるという話を聞いたという。明治時代には、このあたりにも狼はいたようです。

宮司の話では、この神社では、どのような経緯で狼信仰が始まったのかわからないが、昔の人にとっての最大の関心事は、五穀豊穣と疫病が流行らないことの二つ。日本最強の動物、狼を祀って、害獣を追い払い、五穀豊穣と、疫病退散を祈ったのではないか。そういった災害が起こらないように、祭りもたくさん行っていたという。

ところで、この神社では昔、盗難に遭っているそうです。現在の宮司のお父さん、先代のときですが、「狛犬調査」と称して電話があり、先代が狼像があると答えたところ、後日、高さ70cmほどの狼像が無くなっていたそうです。

実際にそういう目に遭っているので、この狼像を宮司宅に置いておくのはしかたありません。

俺の思い込みや、たまたまかもしれないですが、東日本では、あまり聞いたことのない狼像の盗難が、西日本では複数回聞きました。と、いうことは、西日本には昔はもっと狼像があったのではないかと想像します。

先日の記事「渡来系弥生人と狼信仰」の続きのようですが、西日本では昔はもっと狼信仰が盛んだったのではないか、という話を、逆に裏付けるような盗難の話を聞くことになってしまいました。

「物」が無くなるということは、「物語」も同時に失うことです。「物語」が無くなってしまえば、表面上は最初から無いのと同じように見えてしまいます。

 

 

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