埼玉県大宮市 氷川神社の「歯固め石」
大宮氷川神社は何度も参拝しているのに、「歯固め石」が置いてあるのを初めて知りました。
場所は本殿の隣、神輿舎の脇で、力石が置いてある場所の籠に入っています。白っぽい石が選ばれています。
産育習俗でたびたび目にする「石」については何度も書いてきました。
新谷尚紀著『生と死の民俗史』「境界の石」「産育の石をめぐる民俗心意とその儀礼的表現のメカニズムには、
「同じく小石を身近におきながら妊娠、出産、育児の各段階でそれぞれ民俗としての意味づけが異なっているという点である。出産以前においては、子授けや安産、出産前後には産神、離乳のころには歯がため、というふうにである。」
とあります。
出産のときは、石を手元に置くことがあるそうですが、そのときは、石は産神、お守りになるらしい。石のパワーをもらって、出産を無事に済まそうということ。
その後、赤ちゃんが生まれて100日後にはお食い初めの儀式です。
今、だいたいは、お宮参りをしたあとお食い初めする親御さんが多く、歯固めの石は、すでに儀式を行う店で用意してあるので、どこから持ってきた石かはわかりません。悪く言えば、ただ形だけ整えたともいえます。だいたいは、まん丸ではないけれど角のない石が多いです。
でも、本来は氷川神社のように、神社でもらった石を使うのがもともとであったらしい。その手間を省いて店が用意するようになったのも、また時代の流れというものでしょうか。そういう意味で、この氷川神社は、本来の歯固め石のありようを示していていると言えるでしょう。
歯固めの石については、歯が丈夫になるようにとか、骨が堅く丈夫になるようにとか、堅い(堅実な?)性格に育つようにとかいわれているようです。歯、骨、性格、いずれにしても、石の堅さをもって祈願するものです。
「歯固め」については、過去に書いた記事が詳しいですので、興味のある方は、こちらもどうぞ。
https://asiaphotonet.cocolog-nifty.com/blog/2023/06/post-968905.html
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