【犬狼物語 其の七百四十】イヌの起源とニホンオオカミとの関係
「すべてのイヌはニホンオオカミの祖先から誕生? 遺伝情報で迫る起源」という記事が朝日新聞デジタルに掲載されました。
記事内にリンクがあり、科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表された論文はこちらを飜訳して読めます。
https://doi.org/10.1038/s41467-024-46124-y
イヌがどのように家畜化されたのか、今のところ想像するしかありませんが、ニホンオオカミの祖先から、しかも東アジアでイヌが誕生したというのはテンション上がります。
そういえば、イヌの起源についてこんな変わった説もありましたね。
子オオカミを人が育ててイヌにしたというのですが、子オオカミに乳をあげることができたのは人の女性しかいないというストーリーです。家畜化された動物で一番早いのがイヌなので、牧畜は始まってなく、牛や山羊の乳の利用もなかった時代です。古代ローマの建国神話、ロムルスとレムスは牝オオカミに育てられたとされますが、これは人がオオカミを育てる逆パターンですね。
確かにそれはあるかも。ただし、家畜化が子オオカミを育てたからだったら、です。
この論文を読んでそうだよなぁとあらためて思いました。
「イヌの家畜化の時間的起源、つまりイヌがいつ人間と関わり始めたかは、オオカミとイヌの個体群間の遺伝的分裂時間と同一視できないため、イヌの家畜化の起源については依然として議論が続いている」(google翻訳より)
とありました。当たり前ですが、DNA解析でわかるのは、オオカミとイヌが分岐したことであって、それに人間がどのように関わったかはわからないということです。だから自分の乳を飲ませて子オオカミを育ててイヌにしたというストーリーも想像の域をでません。
イヌがオオカミから分岐したのは間違いありませんが、人が家畜化してイヌになったというのは証明できません。なんだか常識を覆されたような気分です。「イヌは人が家畜化した」の思い込みがあるということです(俺だけ?)。
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