【犬狼物語 其の七百七十】オリンピック採火式と狼
パリ・オリンピックが開幕しました。
東京オリンピックのとき、ギリシアで行われたオリンピックの採火式がニュースになりました。
儀式では、巫女が「アポロンよ!」と太陽神に呼びかけて、太陽光からトーチに聖火を採るシーンがありました。ギリシア神話では、狼(リュコス)は、アポロンの眷属です。ギリシア神話での狼のイメージ、すなわち家畜しか襲わず、神々の眷属や人間の守護者というイメージがあったようです。
「インド=ヨーロッパ語では、狼をさす呼称は光ないし輝くことを意味する語根leuk-(そこからギリシア語のlykosやラテン語のlupusが派生)、あるいはwulk(そこからゲルマン語のwulf、のちにwolfが派生)と結びついている」(『ヨーロッパから見た狼の文化史』から)とのことです。
「目」「目の光」「視線」などが狼の特徴としてとらえられていたようです。「光」は、太陽と関係するイメージです。
ローマ時代はどうかというと、ローマ建設のロムルスとレムスの雌狼の乳で育てられた伝承から、狼は聖獣であり、神殿、墓碑、モニュメント、貨幣にその姿が使われていました。これも良いイメージでした。
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