豊川稲荷東京別院の狐像
豊川稲荷にも江戸狐があり、足元に子狐像がいて「子だき狐」と呼ばれています。
これは万延元年(1860)奉納です。
他にも狐像がたくさんあり、とくに興味をひかれたのは「子授霊狐」です。狐も犬や狼同様、イヌ科動物として子安信仰の対象でもあったらしい。
中村禎里著『狐の日本史』には、
「平安時代における六字経法修法例の一覧を見ると、十二世紀に入ってから、御産祈祷に六字経法が修せられる例が非常に多くなることがわかる。では、なぜ安産に六字経法が有効なのだろうか。出産時には、母と生まれようとする子の生命は、一種の危機状況におかれる。その危険を象徴するするのは、狐や物の気の産婦への憑依であった。密教の加持祈祷は、これを解除しなければならない。」とあります。
「安産祈願=狐を祓う」ということもあったのか。イヌ科の多産・安産にあやかって、というポジティブな理由とはまた違った考えがあったとは驚きです。
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