【犬狼物語 其の七百八十七八】お礼参り(秩父編)03 巌根神社
今回のお礼参りは、巖根神社です。書籍『オオカミは大神』で巌根神社を詳しく取り上げてはいませんが、ここはちょっと俺にとっては特別な神社です。
山岳信仰も考慮したうえで、狼信仰の古さをとどめた神社としては秩父の中でも古い方であるらしいのです。
狼の石像は多い。狛犬・狛狐同様、石像が多いのは何の不思議もありません。外に建てる場合、風雨にさらされても木像のように朽ちることもなく長持ちします。コンクリートなどなかった時代では石を使うことはもっともなことです。
でも、本来の石像の意味がよくわかるところが巌根神社にあります。
巌根神社は、本殿の後ろが大きな岩で、文字通り、岩根に鎮座します。もともとのご神体は縄文の先史時代から続くこの巨岩、懸崖信仰にあり、この巨岩(懸崖)そのものであったようです。奥の院がないのもそのためであるらしい。
巖根神社にも狼石像が立っていますが、狼石像は狼信仰と懸崖信仰が合体したものとの説(立正大学地域研究センター年報「秩父オオカミ信仰に関する比較民俗学的分析」石塚正英)があります。
聖なる狼は聖なる懸崖の一部としての岩石で作られるのが自然ではないかというのです。なるほど、巌根神社においては、狼像の本来の意味からすれば石像がふさわしいとなるのかもしれません。(ただし、現在の狼像はこの巨石とは違う石製とのこと)
ちなみにこちらのお犬さまもあばらの表現がありました。「新編」にあばら骨の表現として入れればよかったと少し後悔。
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