映画『最初に父が殺されたFirst They Killed My Father』
2017年の映画『最初に父が殺された』を観ました。
『最初に父が殺された』(First They Killed My Father)は、アンジェリーナ・ジョリー監督による、カンボジアのクメールルージュ支配下で行われた強制労働や虐殺から生き延びた5歳の少女の目を通して描いた壮絶なストーリーです。
原作があるんですね。クメール・ルージュ時代を生き抜いたルオン・ウンの回想録『最初に父が殺された 飢餓と虐殺の恐怖を越えて(英語版)』を基にしており、ジョリーとウンが脚本を執筆したそうです。テルライド映画祭やトロント国際映画祭で上映された後、2017年9月15日よりネットフリックスで配信されています。
主人公の少女の目を通して見るクメール・ルージュ時代ですが、少女のセリフはあまりありません。その代わり少女の表情のアップが多用されています。
そして印象的なのは、周囲の自然の美しさや静けさのシーンがちりばめられていることです。それが生活実態とはあまりにも対照的です。おそらく少女の心の真実、そして記憶にあったのはこの美しい自然だったのでしょう。
5歳という年齢では、政治的なこともわからず、どうしてお父さんが殺されたのか、銃を持たされて行軍しなければならないかもわからず、大人がいう通りにしていただけです。そうしなければ、生きていけないことを本能として感じていたんだろうと思います。
それにしても、だんだんクメール・ルージュの兵士になり、銃を構えてほほ笑む子どもたち、美しい花をめでながら、目の前の人間を殺す、このギャップには悲しみと恐ろしさを感じます。こういう現実は今でもアジアやアフリカで起こっていることです。
クメール・ルージュ時代は悲惨だったね、生き延びて良かったね、というだけの映画ではなく、もっと人間の本質的な怖さみたいなものを感じさせる映画であったと思います。
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