カテゴリー「環境・自然」の173件の記事

2024/11/07

令和7年度版「旧暦棚田ごよみ」

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2025年(令和7年) 旧暦棚田ごよみ、販売開始です。

棚田ネットワークのHPでどうぞ。

 https://www.tanada.or.jp/tanada_goyomi/

 

昔の人は、月の形が丸くなったり消えたりを繰り返す月の満ち欠けに規則性を見出しました。偶然とはいえ、新月から満月を経てまた新月に戻る周期が約29.5日だったのが、長からず短からず良かったのでしょうか。いやそれは逆かもしれません。この周期が人間の文化や生活習慣を形作ってきたと言ったほうが当たっているかもしれません。でも、月の満ち欠けだけでは、季節がずれていくことにも気がつきました。年単位の生活には支障が出てきます。特に農作物を作るようになってからは。

それで太陽の動きも考慮したのが太陰太陽暦です。日本では中国由来の太陰太陽暦を日本風に改良して使ってきましたが、明治5年に太陽暦(新暦)に変更され、それまで使っていた暦は「旧暦」と呼ばれることになりました。(中国では「農歴」といっています)

旧暦(太陰太陽暦)で1年を24に分けたものが二十四節気ですが、新暦になったとはいえ、日本でもまだまだなじみがあるといってよいでしょう。二十四節気じたいは紀元前6世紀ごろに考えられました。当時の中国の文化・経済の中心地は黄河中流域で日本と比べるとだいぶ北寄りで乾燥地帯です。それでも日本人の季節感に影響を与えてきました。新暦で暮らす私たちですが、季節の変わり目ではテレビなどでも「今日から立春です」「暦の上では大寒です」などと紹介されます。

二十四節気は観念的なものですが、各節気をさらに三分した七十二候の方は「季節あるある」といえるもので、日常生活で気がつく気象、動物、植物の変化を表した言葉になっていて、二十四節気より具体的です。

立春の初侯「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」とか夏至の末侯「半夏生(はんげしょうず)」とか立秋の次侯「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」とか。

ただし七十二候も大陸との気候のズレや棲息する動植物の有無などで納得しづらいものがある場合、七十二侯の順番を入れ替えたり、日本独特の七十二候も作られました。貞享改暦(1684)には渋川晴海が日本の風土に合った「本邦七十二侯」を作りました。その後多少の改定があり、明治7年から16年までの官暦に掲載されたものが現在の七十二侯です。

たとえば、中国の大衍暦・宣明暦では「大雪」の次候は「虎始交・武始交(とらはじめてつるむ)」ですが、日本では「熊蟄穴(くまあなにこもる)」になっています。日本に虎はいないので当然と言えば当然なのですが、熊でも実感がない我が家のオリジナル七十二候として「狗蟄炬燵(いぬこたつにこもる)」というのを考えました。飼い犬が炬燵に潜り込むと、あぁ、こんな寒さが厳しい季節なんだなぁと感じることができるからです。我が家の「季節あるある」です。いや、本当を言えば、犬だけではないので、「人狗蟄炬燵(ひといぬこたつにこもる)」にするべきかもしれませんが。

みなさんも旧暦を取り入れた生活の楽しみ方として、独自の七十二侯を考えてみるのもおもしろいのではないでしょうか。

 

 

 

 

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2024/10/25

ランツァンジャン(メコン)の夕景

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中国雲南省シーサンパンナの ランツァンジャン(メコン)の夕景です。

現在、本の企画が進んでいまして、そのテーマがメコンなのです。なぜ今、メコンなのかはおいおい書いていきます。

 

 

 

 

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2024/10/12

「新編 オオカミは大神」の書誌ページ

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『新編 オオカミは大神』の書誌ページがAmazonとイカロス出版社に掲載されました。

特典:Amazon限定デジタル写真集『狼の呼び声』 

出版社 ‏ : ‎ イカロス出版 
発売日 ‏ : ‎ 2024/12/11
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 176ページ
寸法 ‏ : ‎ 21.1 x 14.9 x 0.16 cm

 

『オオカミは大神』は、みなさんのおかげで、在庫がなくなりつつありましたが、今回「重版」という形ではなく、カバー写真を新しくし、増補部分に「鳥取県船上神社の狼送り」と「狼像鑑賞術」を付け足して「新編」として出版されることになりました。12月11日発売開始予定です。

Amazon書誌ページ:www.amazon.co.jp/dp/4802215320
イカロス出版社のサイト書誌ページ:https://books.ikaros.jp/book/b10094352.html

 

 

 

 

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2024/08/29

狐の嫁入り

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この三囲神社の狐像は享和2年(1802)奉納のもので、江戸狐の中でも古い方です。尻尾が直立、立ち耳の典型的なお狐さまです。

「狐の嫁入り」とは、日が照っているのに、急に雨がぱらつくこと。いわゆる天気雨のこと。

まさにこの日は「狐の嫁入り」でした。雨が止まった瞬間に、東京スカイツリーとのコラボ写真を撮影。

「狐の嫁入り」は地方によって他に「狐雨」「狐のご祝儀」などとも呼ばれるそうです。

 ちなみに、外国でも天気雨のことをマレーシアでは「狐の嫁入り」、韓国では「狐の雨」、スリランカでは「狐の結婚式」という情報がネットにありました。

 なぜこの天気が「狐」と関係するのか(一説には晴なのに雨が降る怪現象が狐に騙されているようだからとも)、調べればまた何か面白そうなことが出てきそうです。

 

 

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2024/08/22

今日は、二十四節気「処暑」、七十二候「綿柎開(わたのはなしべひらく)」

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今日からは、二十四節気「処暑」の初候「綿柎開」です。

「処暑」は、暑さが峠を越えて後退し始めるころ、「綿柎開」は綿を包む萼(がく)が開くといった意味です。

今までの暑さに比べれば、今日は確かに峠は越えたかなと思える気温。

昔は東南アジアのような暑さが好きでしたが、今はそういうレベルではなくなってきています。これから毎年こんな酷暑の日々が続くと思うと恐ろしい。

 

 

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2024/08/12

【犬狼物語 其の七百七十五】8月13日は「世界(国際)オオカミの日」

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8月13日は「世界(国際)オオカミの日」。

上に掲載の写真は、科学博物館展示の最近二ホンオオカミと特定された剥製です。

「世界(国際)オオカミの日」の由来について調べると、ネット上には「2011年にアメリカのWhite Wolf PackというWebサイトにて制定された」という情報がありました。

そこでWhite Wolf Packを見ると、このようにありました。

http://www.whitewolfpack.com/2011/08/international-wolf-day.html

「世界におけるオオカミの重要性、あらゆる誤解、そして米国でオオカミ狩りが今年の9月に始まるという事実により、オオカミの認識と教育を確実に行うための特別な日を確保することが非常に必要になった。オオカミの迫害を止めること。この日は今後、毎年「国際オオカミの日」として制定されます。8月13日が選ばれたのは、満月の日という特別な理由からです。」(googleによる翻訳)とあります。

由来はこういったことらしいです。

「満月の日という特別な理由」とありますが、それ以上具体的なことは書いてありません。俺としてはそこが知りたいところなんですが。どうして満月がオオカミにとって特別なのか。

そして「満月の日」が重要ならグレゴリオ暦ではなく太陰太陽暦(日本での「旧暦」)で制定してほしかった。そうじゃなくてもせめて、たとえば「8月の満月の日」とかでも良かったのではないかと思います。

ジャック・ニコルソン主演の『ウルフ』という映画があります。うだつの上がらない中年編集者が、ある夜、オオカミに手を咬まれたことで「狼男」になっていくのですが、だんだんと嗅覚や聴覚が鋭くなっていき、活力がみなぎっていきます。この映画でも「オオカミと満月」のイメージが多用されています。最後、野生に帰っていくという結末には、それしかないよねぇ、という思いと、悲しさみたいなものを感じました。

オオカミと満月とをくっつけてイメージするのは、「月(=夜)」と「野生」「神秘」との親和性や、この「人狼」(日本でいうなら「狼男」)伝説とも関係するかもしれません。

 

 

 

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2024/05/26

【犬狼物語 其の七百六十】ニホンオオカミの剥製

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先日ニュースになった新しく発見されたニホンオオカミの剥製と、前から科学博物館に展示されていた剥製、新旧の剥製を比べてみました。

個人的な印象は、今回発見された剥製の方が、より狼らしいかなと思いました。ストップ(額段)の滑らかさ(平さ)、尻尾の太さなどで。

と思ったら、なんと頭骨入ってないそうです。比べても意味がないですね。

 論文全部は読んでいなかったので、まさかDNA解析くらいしているんだろう(科博だし)と思い込んでいました。 

シーボルトが持って行ったライデンの標本も確か犬とのハイブリッドだったはず。それもDNA解析して初めて分かったことです。

 そしたら極端に言えば、西日本の2つの神社にある「狼さん」の剥製と変わらないですね。「お犬さま・狼さま」という信仰物としては問題ないでしょうが。

 

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2024/03/09

さいたま市大宮盆栽美術館

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 何度も行っているさいたま市大宮盆栽美術館ですが、~3月20日(水祝)まで、特別展「煎茶と盆栽~「盆栽」の夜明け」をやっています。

今日の盆栽文化が成立した過程には、幕末から明治時代にかけて大流行した文人たちの煎茶趣味が関係していたこと、初めて知りました。 

庭園のみ写真撮影可です。掲載写真、上から順に

推定樹齢120年の欅

推定樹齢120年の五葉松

推定樹齢350年の五葉松「青龍」

推定樹齢45年の欅

じっと見ていると、根元に人や動物のフィギュアを置きたくなってきます。箱庭療法です。

箱庭療法は、スイス人のドラ・カルフがユング心理学を基盤として発展させて確立した心理療法です。箱庭にミニチュアの人形や動物や建物や植物などを配置するもので、無意識に降りてゆき、心を癒すひとつの方法として取り入れられているものです。

日本の江戸時代にもありました。盆の上に石を置いて風景を作る「盆石遊び」と呼ばれるものです。「盆石遊び」は小学校の教科書に載っているくらい、1950年代までは一般的な遊びだったようです。

このように伝統的に箱庭で遊ぶ文化があったので、箱庭療法が受け入れやすかったそうです。ちなみにノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士も子供のころ盆石遊びをしていました。

 

 

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2024/02/23

今日2月23日は 富士山 Mt.Fuji の日

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2024/02/10

2024年2月10日は旧暦1月1日

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あけまして、おめでとうございます。

今日、2024年(令和6年)2月10日は、旧暦の元日です。

 

旧暦棚田ごよみについて

2年前、岡山県のある神社で夜の神事に参列する機会がありました。その日は11月15日でした。ただしこれは新暦の日付で、昔は旧暦の霜月11月15日に斎行されていた神事なので、満月の夜だったのです。真夜中ならちょうど中天に月が煌々と輝いていたことになります。それを想像するとぞくぞくっとしました。

昔の祭や神事は月の満ち欠けと関係していました。だから昔の人はいまよりも月の満ち欠けに敏感だったことが想像できます。

柳田国男は『年中行事覚書』の中でこう言っています。

「暦が字で書き印刷した本になり、どこの家庭でも見られるようになったのは至って新しいことで、もとはその暦本の数も少なく、こしらえる処が遠くに在って持って来る方法も なく、それに第一読める人が少なかった。そのためにたいていの農村では昔の仕来りのままに、月の形を見ていろいろの祭や行事の日をきめたのであった。年や月というものの境 も、この満月の日だったろうかと私は思うが、その点は確かにそうだとまでは言えない。ただ少なくとも多くのお社の祭が、今でも十五日の後先になっているのは、文字を知らない人々には月の形が、一ばんわかりやすい暦だったからである。」

毎日変化する月の満ち欠けそのものが暦だったのです。月の満ち欠けには規則性があるということに気がつくには、約29.5日という周期は、偶然とはいえ、ちょうどいい長さだったかもしれません。

ただ、月の満ち欠けだけでは、季節がずれていくので、太陽の動きも考慮したのが太陰太陽暦です。

日本では中国由来の太陰太陽暦を日本風に改良して使ってきましたが、明治6年から太陽暦(新暦/グレゴリオ暦)に変更され、それまで使っていた暦は「旧暦」と呼ばれることになりました。今年は改暦から151年目です。

世界標準となった太陽暦によって科学技術が発展し、豊かになったのも事実なので、否定するものではありませんが、旧暦と新暦の併用はできないものでしょうか。中国、台湾、ベトナム、韓国などの国々では旧暦を併用していますが混乱はありません。日本でも「中秋の名月」など、旧暦を意識せざるをえない日はあって、生活に潤いを与えています。

私たちもこの10年旧暦を使ってきて、確実に月を見上げる機会が増えたし、田んぼの稲の様子の移り変わり、周辺の草花、気温の変化などに敏感になったのは確かです。これは旧暦を意識しているからにほかなりません。

新暦に慣れているので、旧暦ごよみは初め使いづらいかもしれませんが、普段は気にも留めないことに意識を向けさせてくれるのも旧暦なのです。旧暦を使うことは懐古趣味というのではなく、むしろ新しいライフスタイルを提案するという意味もあります。

 

 

 

 

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