カテゴリー「旅(日本)」の623件の記事

2023/08/01

【犬狼物語 其の六百七十七】「イヌ」の始まり(1)

_mg_1438

101025

イヌはどのようにしてオオカミから生まれたのかが気になるところです。遅くても1万数千年前の出来事で、実際どうだったのかを証明することは不可能なので、想像するしかありません。毎日こんなことばかり考えている俺は、どこかおかしい、それは自覚しています。

それでいろいろと本を読んだりしていますが、定説は、もちろんありません。

ただ、野犬やアフリカのブッシュマンなどの狩猟採取民のイヌたちがヒントになるのではないか、という気がします。野犬(野良犬)は最近ではめったに見なくなりましたが、10年ほど前には、四国で何回か野犬を見たことがあります。

徳島県、高知県、香川県です。そのときはヴィーノも連れた「犬旅」だったので、とくに野犬には気がつくことが多かったようです。

香川県三豊市観音寺の公園には、同じような姿の薄茶色の2頭の野犬がいました。兄弟姉妹かもしれません。

1頭は4mほどまで近づきました。人間が嫌いなわけではなさそうです。でも、それ以上接近することはありませんでした。こちらが近づいていくと逃げていきます。もう1頭は、人の姿を見ただけで逃げていきました。兄弟でも人間に対する態度はかなり違うようでした。どちらも飼い犬にはない、緊張感が漂っていました。野生の匂いですね。

もちろん近づいてくるのは、人間が食べ物を与えるからでしょう。でも、飼い犬のように、すぐ近づいてくることがないというのは野犬らしいところです。

「付かず離れず」 この微妙な距離が、人間と野犬たちの関係を象徴しているようです。この距離が長くなればなるほど、「飼い犬」から「野犬」に近くなるということでしょう。「野犬度」と、この距離は比例しているといってもいいかもしれません。

この「野犬」の感じこそ、「イヌ」が「オオカミ」から分岐したころの姿に近いのではないでしょうか。ここからは、俺の想像するシナリオの一つです。

人が狩猟採取していた時代、人の近くに近づいたオオカミがいた。人が現れると、逃げて、見えなくなると、また人の捨てた残飯などをあさっていた。人も最初は追いはらっていた。それでも狼にとっては、確実にえさにありつける人のところは魅力で、追いはらわれながらも、隙あらば、近づいていた。人が狩をしたときは、残った骨などにかぶりついた。双方が警戒しながらも、半分存在を認め合う間柄だ。そんな「野犬」状態のオオカミが何世代も続いた。

偶然に人間に近づいたオオカミの個体がそのままイヌとして飼われるようになった、あるいは、オオカミの子どもを拾ってきて飼い始めてイヌになったということはあり得ないので、何世代もの「野犬」状態が続いたはずです。それは100年単位、1000年単位かもしれません。あるいはもっと10000年単位であってもおかしくはないでしょう。DNAとして固定されるまでには長時間が必要です。

「野犬」状態のオオカミの中には、ずっと人間のそばに居つくようになった個体もいたかもしれません。また、人間がこれは狩に使えると思った個体もあったかもしれません。とにかく、長い間、こんな「着かず離れず」状態が続いたのではないでしょうか。

やがて、オオカミはもっと人間に近づく方法として、自分の姿を変えていったと思われます。目を黒目に変えて、幼く見えるように変わりました。そして吠えることをおぼえました。幼く見せることは人間の警戒心を解き、より近づきやすくなったし、吠えることで、危険を察知する番犬として、また、狩をするときの合図として、人間の役にたつことにもなった。双方にとってメリットがあった、というわけです。

だから考えてみれば当然なんですが、「オオカミからイヌになった瞬間」なんてものはないということなんでしょうね。 

 

| | コメント (0)

2023/07/31

【犬狼物語 其の六百七十六】 映画『石岡タロー』を観て

170514_0(石岡駅前広場 みんなのタロー像)

 

170514_2(石岡駅前広場 みんなのタロー像)

 

170514_3(石岡駅前広場 みんなのタロー像の後側)

 

170514_4(石岡駅の待合室 タローの紹介パネル)

 

170514_5(土浦市 タローが葬られた墓地)

 

170514_6(土浦市 タローが葬られた墓地 「愛」の碑)

 

映画『石岡タロー』の試写を観ました。

茨城県のJR石岡駅西口前の広場で「みんなのタロー」という新しい犬像の除幕式が行われたのは、2017年4月15日のこと。

忠犬タローの物語を語り継ごうと、犬と子どもたちのブロンズ像が建てられました。

そして、今回は、映画にもなりました。全国の犬像の中には、映画になった犬も多くいます。松本市の「校犬クロ」や「ガイド犬・平治」などです。タローもその仲間入りです。

タローが最初の飼い主に会いたくて何年間も学校から駅に通ったのですが、その犬の持っている一途さに胸がキュンとしてしまうわけですね。そして映画はそれを見守った石岡の街の人を描いています。これほど街ぐるみで飼っていた犬は珍しいかもしれません。いや、昔は放し飼いの犬が多く、自由に歩けたし、今の東南アジアで見る犬たちのような犬が昔はたくさんいたと思います。だから昔は良かったというつもりはありませんが。時代が変われば、犬を取り巻く事情も変わってくるのは当然のことです。

だから犬の話ですが、人の話、時代の話でもあります。タイトル『石岡タロー』の「石岡」にはそんな街の人や昭和という時代を抜きには語れない物語であることを思わせます。当時の車やバイクが多用され、昭和の街並みにこだわった感じがするのも、この時代を特別に描きたかったからではないでしょうか。

その物語に過剰な演出もなく、淡々とつづられるタローと石岡の人々との日常生活に、心地よさや懐かしさを感じたのでした。

10月20日には一般公開されるようです。まずは茨城県で先行上映し、いずれ全国で上映されることになると思います。

 

 

 

| | コメント (0)

2023/03/17

群馬県太田市 藪塚石切場跡

Img_4499

Img_4515

Img_4519

Img_4532_20230316161001

 

「旅するヴィーノ」連載の、来年用にと、太田市の藪塚石切場跡を訪ねました。

カンボジアのアンコール遺跡や、ヨルダンのペトラ遺跡を思い出させるような、巨大神殿にも見える異空間。

ヴィーノと比べてもらうと、この大きさがわかると思います。

 藪塚石と呼ばれる凝灰岩の建築用石材が採掘されたそうで、1955年(昭和35年)に閉山されました。

足場が悪かったり、石が崩れそうなところもあり、見学は自己責任ということで。

| | コメント (0)

2023/03/08

三重県熊野市 花の窟神社

Img_2799

Img_2806

Img_2815

花の窟神社は日本書紀にも記されている日本最古の神社といわれています。

この窟には伊弉冉尊が葬られていて、巨巌が伊弉冉尊の御神体とされます。人々は季節ごとに花を供えて尊を祀ったところから花の窟との名前が付けられたという。

古来社殿はなく、高さ45mの巨巌の正面に玉垣で囲われ、玉砂利を敷きつめた拝所があります。

例大祭が行われますが、そのとき、約170mの大綱を御神体から御神木にわたします。これは「御綱掛け神事」と呼ばれ、三重県無形文化財に指定されています。

圧倒される巨巌に、何か神性を感じて祀り始めたというのは自然なことだろうし、解説看板にも書いてあったように、これが古代の神社の姿なのでしょう。

 

 

| | コメント (0)

2023/02/09

【犬狼物語 其の六百五十一】武蔵御嶽神社 大口真神式年祭写真展『お狗さまの肖像-日本の狼信仰と狼像』

2_202302090847011_20230209084701

 

企画 武蔵御嶽神社
大口真神式年祭写真展

お狗(いぬ)さまの肖像-日本の狼信仰と狼像
2023.4.1~5.31 8:30~16:00 武蔵御嶽神社神楽殿にて

今回の写真展では、東北地方から九州地方まで、日本各地に点在する個性的な狼像の写真を展示いたします。

明治時代に絶滅したとされるニホンオオカミですが、西洋とは違って、牧畜の発達しなかった日本では、猪鹿から農作物を守ってくれる益獣でもありました。ニホンオオカミは、農事の守神として崇められてきました。

もちろんニホンオオカミは、人を襲う怖い動物でもあり、被害記録もたくさん残っています。

益獣である面と怖い動物という面、二つを併せ持つからこそニホンオオカミは信仰の対象になったのでしょう。

ニホンオオカミは絶滅しても、今でも狼信仰の寺社は全国にあります。また山の中には、山の神の眷属としての狼像が立っている祠もあります。狼信仰は脈々と続いています。

 

これはハガキ大の写真展DMです。

DMを置いていただけるギャラリーなどありましたら、ご連絡ください。

Img20230209083311_burst000_cover

 

| | コメント (0)

2023/01/18

広島県尾道市 因島水軍城

287a7156

287a7154

287a7153_20230115101201

287a7152

 

南北朝時代から室町・戦国時代にかけて活躍した村上水軍。

因島水軍城は昭和58年に築城された城型資料館で、村上水軍の武具、遺品、古文書などの歴史資料が展示されているそうです。

訪ねた日は休館日で外側からしか見ることができませんでした。

 

 

 

| | コメント (0)

2022/12/26

原尻の滝

287a7684

Img_2511

 

話は前後しますが、また、九州の話題です。

豊後大野市に原尻の滝があります。近くには棚田百選の緒方町軸丸北の棚田もあって何度か行ったことがある滝です。

キンキンに冷えた早朝、滝にけあらしが発生。ヴィーノもさっそくの出番です。

 

 

| | コメント (0)

2022/12/25

再びの宮島(今度はヴィーノ連れ)

Img_2537

 

Img_2562

先日、宮島に渡ったときはヴィーノを車に待たせて、俺たちだけで行きました。

というのも、厳島神社社殿内には入れないことがわかっていたからです。

でも、雪が降り、山陰を通って帰るのはあきらめ、瀬戸内側を戻ることにしたら、ちょうど宮島あたりは奇跡的に晴れることが分かったので、今度はヴィーノを連れて行くことに。フェリーには犬は無料で乗ることができます。

ただ、キャビン内に入ることはできないので、デッキにいる必要があります。この寒空で大丈夫かなと思ったのですが、行きは、西から東への移動なので、西風の冷たさは感じませんでした。

ところが、上陸してすぐ、突然空が曇って、強烈な雨と風(嵐)に見舞われて、びしょぬれになってしまいました。意外と、西風を避ける場所がなかったためです。

それも10分もすると、嘘のように再び晴れました。強風は変わりませんが、陽が出ると、少しは暖かさも感じるし、過ごしやすい。その中でヴィーノの写真です。

外国人が、鳥居を背景に、変なポーズを取って写真を撮っているのを不思議そうに眺めるヴィーノがまた面白い。

ヴィーノの写真が目的だったので、1時間ほどで本州側に戻りましたが、帰りのフェリーはもろに西風の影響を受け、寒いのなんの。ヴィーノよりも俺の方が寒がっているような状態でした。

 

 

| | コメント (0)

2022/12/23

阿蘇山を見るヴィーノ

Img_2420

Img_2433

阿蘇スカイライン展望所と、大観峰 展望所のヴィーノ。 

前日雪が降りましたが、翌日は晴れたので、なんとか道は通れそうだと判断して展望所に寄ってみました。(産山村・扇の棚田の途中です)

雪があるとかえって元気なヴィーノです。子どものころから雪が好きな犬ですね。

 

| | コメント (0)

2022/12/21

広島県 世界遺産・厳島神社

287a7170

Fj_xrw2auaaqnbw

287a7189_20221218083701

287a7205

 

広島県の世界遺産・厳島神社は、いつか参拝しようと思ってきた神社です。

神社のある宮島の対岸(本州)は何度も通過していたのですが、機会がなくて、今回になりました。

フェリーで宮島に渡ると、さっそく鹿のお出迎え。

「ス・キ・・・」

2頭でいちゃつく鹿たちを横目に、厳島神社の境内へ。

海に立つ真っ赤な鳥居もすばらしかったですが、本殿のおごそかな雰囲気や、回廊の美しさも格別です。

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧