ベトナム サパの棚田

Sa_01 Sa_02 Sa_03
Sa_04 Sa_05 Sa_06_2
Sa_07 Sa_08 Sa_10
Sa_10_2 Sa_11 Sa_12
Sa_13 Sa_14 Sa_15
Sa_16 Sa_17

ベトナムは南北に長い国である。稲作が盛んで、南部のメコン川デルタ、北部の紅河デルタを中心に、大規模な水田が広がっている。一年中暑い南部では三期作も行われている。

 またベトナム料理は、生春巻やフォー(コメの麺)で代表されるような、コメ食品の種類も多い。まわりを海と山に囲まれ、豊富な食材が手に入るので、バリエーションのあるベトナム料理が生み出された。

 一方、中国の国境に近い北部山間部には、多くの少数民族が住み、天水に頼る棚田でコメを作って暮らしている。デルタ地帯の豊かな農村と比べると、生活は決して楽ではない。

 サパに暮らすモン族は、中国・清の時代に、差別や貧困から逃れて、ベトナムへ南下してきた。生きるために鬱蒼とした森林を切り開き、山の斜面を棚田に変えていった。棚田に夕日が反射し、鱗のような模様が強調されると、人間の執念のようなものを感じてしまう。棚田は幻想的だが、彼らの歴史は厳しさそのものだ。

 サパは今、観光客で賑わっている。現地のモン族女性の商魂はたくまし。

 後日、棚田で仕事をしていた女性が「最近、土産物を作るのが忙しくて、田んぼの仕事をしている時間がなくなってきたよ」と、流暢な英語で言ったのを聞いて、複雑な思いがしたのだった。