中国雲南省 元陽の棚田
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梯田(中国語での「棚田」の意)は雲南の至るところで見られる。特に規模が大きいのは、中部から南部にかけての紅河沿いの谷である。
実際に棚田を間近に見たのは、元江県郊外のハニ族を偶然訪ねたときだ。村の旅館に泊まり、朝方何気なく窓の外を見て驚いた。雲海の上に棚田が広がり、朝焼けに輝いていた。こんな風景が世の中にあるとは。
この衝撃的な体験で私は初めて「棚田」というものを意識した。これが世界の棚田を撮り始めるきっかけになった。
民家を抜けて村外れの高台に立ち望遠レンズで覗いていると、突然うしろから声をかけられた。
「何を撮っているんだね?」
振り向くと、農作業から帰ってきたらしい男が、鍬を肩にかついで立っていた。
「何って、この美しい風景ですよ」
大パノラマを写真に収めた私は満足していた。
「美しい風景? いったい、これのどこが美しいのかね?」
男はそういうと、おかしなやつだと言わんばかりの顔をして村の中に去っていった。
ハニ族の棚田は唐代の文献にも登場する。彼らの先祖たちは生きるために鬱蒼とした森林を伐採し、山の斜面を耕し棚田を作ってきた。
「美しい」と思わずいってしまったが、彼らにとっては、生まれてからずっと見慣れてきた日常の風景で、むしろ「美しさ」よりも「厳しさ」を感じているのかもしれない。
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