« 夢日記 ベトナムとインドのGH | トップページ | 夢日記 奇術師の脱出劇 »

2015年7月20日 (月)

幽霊の探し方 Deep Neural Net Dreams

11

「見ることは考えることだ」と言われます。

人間は目だけで物を見てそれがなにかを判断しているのではなくて、自分の体験・知識・期待などもいっしょに活用して「おそらくあれだろう」と考えて答えを出しているらしいのです。

目から入った情報処理を「ボトムアップ処理」、自分の体験・知識・期待を「トップダウン処理」といいます。その2つの処理で俺たちは物を何か判断しています。

だから、カメラと人間の目の違いは、カメラは物理的世界を正確に写し取るのに対して、人間は見たいものしか見ていないと言ってもいいのかもしれません。

逆に言えば、カメラのシャッターを押したとき、人間には見えていないものも写真には記録されるということでもあり、カメラの持っている客観的な記録性ということが、重要な特徴だということが分かります。

ところで、幽霊はなぜ見えてしまうのでしょうか? この答えは、目から入る情報よりも、頭にある情報が勝った場合の典型例といえるのではないでしょうか。

幽霊は、そこに無いものを見てしまうものです。壁のシミに幽霊の顔を見てしまったり、林の木々に幽霊の立ち姿を見てしまったり。つまり極端な言い方をすれば「幽霊に見たいから幽霊を見てしまう」らしいのです。

これがわかるような、おもしろいHPがありました。Deep Neural Net Dreamsというものです。これはグーグルの画像解析の技術で、コンピュータがこれまで学習してきた「知っているパターンに近い何か」を見つけたらそれを増幅させて表示するというものです。詳しくはこちらで。ついったーでも、#deepdreamで「作品」をいろいろと見ることができます。

そこにない物を無理やり見せてくれるという意味で、大変興味深い。それで実験してみました。コンピュータは何を見たがっているのか?です。

まずPhotoshopで、「雲模様」を作りました。具体的には何もない画像です。それを変換してみました。

それで出てきたのが、上の絵です。右上に、なにやら鳥のような動物のようなものが出てきました。それとお城や教会のような塔のある建物。微妙な雲の濃淡からコンピュータがパターンを見つけたのです。

グーグルでは、「夢 Dreams」と表現していますが、形を探し出すというところから、むしろ「幽霊」と言った方が合っているのではないかなと思います。

コンピュータは得体の知れない動物らしきものを見ようとしましたが、人はもっと「人」に近いものを見ようとするのではないでしょうか。でもそこにいるはずがないということも頭では分かっているので、そこに「人」ではない「幽霊」を見てしまうのではないかなと。

あいまいな模様の中に何かを見てしまう錯覚は「パレイドリア」と呼ばれますが、「何も無い」ことが意外と絶えられないのです、人間は。何かを見てしまいたくなる。

コンピュータは、ただ情報処理をしているだけで、絵の雰囲気(怖さ)がわかっているわけではないでしょうが、偶然にしろ、怖いものを見ようとしているのは共通しているのかもしれません。

あいまいな形からは怖いものを見つけてしまうというのは、でも、考えてみれば理にかなっています。危険な物をいち早く発見することが生き残っていくためには有効だからです。だから人間も幽霊を見たがるのは、「正しい」心理機能といえるかもしれません。
 
 
 
 

|

« 夢日記 ベトナムとインドのGH | トップページ | 夢日記 奇術師の脱出劇 »

夢日記」カテゴリの記事

心理学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 夢日記 ベトナムとインドのGH | トップページ | 夢日記 奇術師の脱出劇 »