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2015年12月24日 (木)

心はどこにあるか? それは棚田の中にある

心はどこにあるかと尋ねられたとき、なんと答えるでしょうか。「棚田の中にある」などと答えたら「お前バカか?」と言われてしまうかもしれません。でも、この答えはあり得るという今日の話です。

普通に答えるなら、ある人は頭(脳)といい、ある人は胸のあたり(心臓)と答えるのではないでしょうか。俺も直感的には胸のあたりを指すと思います。

「認知神経科学'12」では、面白いことを知りました。

「心」の語源は「凝り(こごり)」という説があります。これは「煮凝り」の「凝り」のことでしょうか。

もともとは動物の内臓のことです。体こそが心だと思っていたようなのです。心と体は切り離せないものでした。言われてみれば「頭(脳)」と考えるようになったのは近代になってからでしょう。

古代中国でも、心は心臓、腹部、胸部に宿っていると考えられていました。(wiki参照

日本でも、心は腹にあると思っていました。だから武士の「切腹」は、心の中身を見せる、つまり心に偽りがないことを見せるためだというのです。

「認知神経科学'12」p.262には最近の研究についてこうあります。

自分の心はどこにあるかということについて、「身体内部だけではなく、外部環境とのやりとりも含めて心であるという見方もある。心は何らかの空間を占めているという実体ではなく、機能なので、心のはたらきを実現している実体を身体の外にまで拡張して考えることも原理的に可能と思われる」

Wikiにもこうあります。

「最近では、アントニオ・ダマシオらによって、脳だけで説明しようとする理論では不十分なところがあり、脳に加えて身体まで含めた総体のダイナミックな相互作用が意識や心という現象を作り出しているとすべきだ、と指摘されるようになっている」

科学が発達して、心は脳の状態と関連があるということがわかったのでしたが、でも最近では、脳だけあっても心・意識は生まれず、脳、身体、環境の相互作用で心・意識が生まれるというふうに変わってきているらしい。

自分の心・意識が自分の外にもあるという説は面白いなぁと思います。

周りの環境も自分の心・意識の一部であるかもしれないのです。

これで以前書いたTPPによる環境の変化は、日本人の心に与える影響が大きいのでは?という話とつながってきます。環境だけが変わるわけではないというのがミソです。

TPPは経済的な問題だけではなくて、やっぱり心・意識の心理学的な問題でもあるんですね。

「私の心は棚田にある」という答えは、こういう意味なのでした。
 
 
 
 

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